大切な人の旅立ち

2025/04/03

column

大切な人が旅立とうとしているとき、あるいはすでに旅立たれたとき、私たちの心にはさまざまな思いがめぐります。悲しみや不安、後悔、あるいは「本当にこれでよかったのだろうか」という問い。

人生とは、思い描いた通りにすべてを成し遂げることができるものではありません。多くの人が、やり残したことを抱えたまま、この世を去ります。しかし、それでも私たちができることがあります。それは、残された私たちがその歩みを振り返り、「この人の人生には確かに意味があった」と語ることです。

人生は一枚の絵のようなものです。思い通りに筆を運べることもあれば、思いがけない色が混ざることもあります。しかし、たとえ本人が最後まで描き切ることができなくても、残された私たちがその絵を見つめ、「この絵には確かに価値があった」と語ることで、その作品は完成するのかもしれません。それは個人の物語としてだけでなく、社会の中で果たしてきた役割や残した影響をも含みます。私たちは皆、互いに影響を与え合いながら生きており、そのつながりの中で人生の意味が紡がれていくのです。

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だからこそ、お別れの場は、家族だけでなく、社会の中でのつながりを確認し、故人が果たしてきた役割に感謝を伝える機会でもあります。近しい人たちの間で静かに見送ることも大切ですが、その後に「知っていたらお別れしたかった」と悔やむ声を聞くことも少なくありません。亡くなった方が築いてきた関係は、家族だけでなく、友人や仲間、地域社会の中にもあります。そのつながりを大切にし、社会全体で別れを告げることもまた、故人への敬意の表れなのです。

死を迎えることは、決して「終わり」ではありません。亡くなった人が自分では語ることのできなくなった「エンディング」を、残された人が心を込めて綴ることで、その人生は一つの物語として完成していきます。人生は、必ずしも思い通りにいくものではありませんが、最後には「いろいろあったけれど、よかったね」と思えるように、今このときを大切に過ごすことができるのではないでしょうか。

亡くなられた人の思いは、これからも私たちの心の中に生き続けます。そして、その思いを受け継ぎながら生きていくことが、きっと故人にとっても安らぎとなるでしょう。

私たちは皆、いつかこの世を去る日が来ます。そのときに、誰かが私たちの人生を振り返り、「この人の生きた意味は確かにあった」と思ってくれること。それが、人生の本当の終わりなのかもしれません。

今、この瞬間を大切にしながら、生きていきましょう。

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