本堂の前には樹齢三百年(推定)の銀杏の木があります。周辺には大きな建物もないため、遠くからでも見つけることができる存在感のある木です。銀杏の木は通常の樹木と比べて水分が多く、燃えにくい性質があるといわれています。そこで、「火除」として街路樹や、寺社の境内に植えられる木として好まれるようです。春には若葉が一斉に芽吹き、夏には酷暑を和らげてくれる木陰を提供し、秋になると、大量の葉とともにたくさんの銀杏(ぎんなん)を落とします。このように、当山の境内で四季を感じさせてくれるシンボルとなっています。
夏 | 冬 |
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ところが、近年の気候変動の影響で台風などが強力になってきており、台風が過ぎ去った後に直径数センチの太い枝が地面に突き刺さっていたことがありました。これが近隣の住宅等に被害を及ぼすおそれが出てきたこともあったため、危険と思われる枝を2023年2月に(断腸の思いで)伐採いたしました。
伐採後の樹木の状態を心配していましたが、伐採後の春から早速葉を付けるようになりました。秋の銀杏はほとんどできなかったものの、冬を越した新緑の季節には、伐採後に伸びた新しい枝からも若葉が出ていることが確認されました。この調子で行けば、そのうち以前の姿に戻ることができるでしょう。大樹の生命力に畏敬の念が生じる一方で、また伐採しなければならないかもしれないと思うと、複雑な心境になります。